カッシーの国語通信:映画編
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カッシーの国語通信:映画編
このブログでは、お薦めの映画を紹介します。御意見いただければうれしいです。
1 『サイモン・バーチ』 1998アメリカ
監督:マーク・スティーブン・ジョンソン
出演:イアン・マイケル・スミス/ジョゼフ・マッゼロ
ジョン・アーヴィングの小説『オウエンのために祈りを』の映画化作品です。
12歳なのに身長が96センチの少年サイモンは、自分が小さいのは、神様が何かの使命を与えてくれているからだと信じている。
サイモンは親友のジョーとともに、少年野球の合宿に参加するが、その帰りのバスで・・・。
アーヴィングの物語にはいつも、人生はときどき残酷だけど、それでも生きることは大切だと思わされます。
2 『レザボア・ドッグズ』 1991 アメリカ
監督:クェンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル/ティム・ロス
宝石強盗に失敗した6人の男が、ひとりの警察官を人質にして倉庫のアジトに逃げ帰る。6人の中に一人、警察のスパイがいることは確実なのだが、それが誰なのかわからない。
密室でくりひろげられる、演劇的なスーパーハードバイオレンス。セリフのある女性が一人も出てこない映画というのは珍しいのではないでしょうか。ただし、そうとうハードな描写もあるので、心臓の弱い方にはお薦めしません。
監督:マイケル・チミーノ
ベトナム戦争を描いた映画の中では1、2を競う傑作です。
ベトナムで敵の捕虜となったマイケル(デ・ニーロ)は、そこでアメリカ兵の仲間同士でロシアンルーレットをやらされる。何とか生き延びてアメリカに帰るが、心に消しがたい傷を抱いてしまったマイケルは、ベトナムに残った親友ニック(C・ウォーケン)を救うために再びベトナムを訪れるのだが・・・。重厚ですが一度は見たい作品です。
4 『シャイニング』 1980 アメリカ
出演:ジャック・ニコルソン/シェリー・デュバル
スティーブン・キングの同名小説の映画化作品。結末などが原作と大きく異なるため、キング自身が「映像化された最もきらいな作品」と言っているが、本当の理由はおそらく、映画が原作よりもずっとすぐれているからだろう。
これは単純なホラー映画ではなく、人間の狂気の果てを描いた名作である。映像、音楽、演技、すべてにおいて、完全主義者キューブリックの真骨頂とも言うべき出来栄えです。
監督:ミロス・フォアマン
出演:F・マーリー・エイブラハム/トム・ハルス
天才の代名詞、モーツァルト。そして彼の才能に嫉妬する主席宮廷音楽家サリエリ。
サリエリは、凡庸でしかありえない自分の憎悪を、神への復讐としてモーツァルト殺害というかたちで実現しようとする。
我々のほとんどは凡人である。そして我々が目前に天才を目にしたとき、そしてその人物がけっして尊敬できる人間ではなかったとしたら・・・。
出演:ジョベス・ウイリアムズ/クレイグ・T・ネルソン
スピルバーグ初期の秀作。新興住宅地に住む幸せな家族の家に怪現象が起きるようになり、ある日、5歳の末娘キャロル・アンが「消える」。家のどこかにはいるのだが、それがどこかわからない。両親は彼女を救うために学者や超能力者まで呼ぶが・・・。
これはホラー映画ではない。スピルバーグ作品の多くがそうであるように、家族の愛と絆を描いたドラマである。
監督:ジョン・マッデン
出演:グィネス・パルトロウ/ジョセフ・ファインズ
若きウイリアム・シェイクスピアはスランプに陥っていた。そのとき彼の前に現れた貴族の娘ヴァイオラ。彼は彼女の美しさに、そして彼女は彼の才能に惹かれ演劇への愛によって結ばれる。
シェイクスピアは女王エリザベスと、ドラマが真実の愛を描けるかどうか、賭けをする。そして生まれたドラマが傑作、『ロミオとジュリエット』であった。
恋愛映画の名作です。
8 『タイム・アフター・タイム』 1979 アメリカ
監督:ニコラス・メイヤー
出演:マルコム・マクドウェル/メアリー・スティーンバージェン
あまり知られていないけれど、タイムトラベルSFの秀作です。
イギリスの切り裂きジャックが、H・G・ウエルズの発明したタイムマシンで、現代のアメリカに逃げる。それを追ってきたウエルズは、一人の女性と知り合うが・・・。
とにかく楽しめる映画です。ちなみに、シンディ・ローパーの同名名曲は、この映画にインスパイア―されてつくられたそうです。
監督:ウィリアム・ワイラー
本当に古いけれど、恋愛映画のスペシャル級の傑作です。
ローマを訪れた某国のプリンセスが、滞在先の城から街に抜け出す。そこで彼女はアメリカ人の新聞記者と出会い・・・。
大人のおとぎ話といった感じの映画ですが、とにかく楽しく、そして切ない映画です。だまされたと思って見て!
監督:ジェームズ・キャメロン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/エドワード・ファーロング
正編よりもおもしろい続編映画です。とにかくCG技術をフルに使っての、ターミネーターどうしの対決が素晴らしく、液体金属のロボットという発想もおもしろかった。
しかしこの映画、キャメロン監督の映画の多くがそうであるように、本質的には親子の愛を描いた映画です。
11 『ブレイブハート』 1995アメリカ
監督:メル・ギブソン
肉体派俳優のアカデミー賞監督賞作品。
13世紀、イングランド支配下にあったスコットランドで、一人の農民が立ち上がり、それは波のようなうねりを起こして独立へと動いた。こうした史実をもとに作られたこの映画は、正統派の歴史映画で、しかも最初から最後まで楽しく見ることができる作品になっています。
12 『イミテーション・ゲーム』 2014アメリカ
監督:モルテン・ティルドゥム
第二次世界大戦中、ドイツの暗号機「エニグマ(謎)」は、人力でそのコードを解くには二千万年がかかる、驚異の暗号機だった。そのコードを解くために英軍に雇われた実在の天才数学者アラン・チューリングは、人力で不可能なら、それを機械に解読させようとし、試行錯誤の末に成功した。
戦後、41歳の若さで自殺した天才のその発明品を、我々は現在、コンピュータと呼んでいる。
監督:シドニー・ルメット
1972年に実際に起きた銀行強盗事件をもとに映画化された作品。しかしこれは、サスペンスでもバイオレンスでもありません。二人の素人銀行強盗二人が、メディアや警察との交渉をする中で、アメリカという国の暗部が描き出されていくという、社会派監督S・ルメットの傑作です。
アル・パチーノは若き日のこの作品でアカデミー賞を取るべきだったと思うのですが、名演です。
14『2001年宇宙の旅』 1968 アメリカ
出演:キア・ダレー/ゲーリー・ロックウッド
この映画が公開されてから50年以上の月日が経ちますが、未だに宇宙SF映画の最高峰と言えるでしょう。土星に向かう宇宙船に搭載されたスーパーコンピュータ「HAL」が自身の意志を持ち、乗組員を一人ずつ殺していく。
この映画のラストは恐ろしく難解で、多くの解釈がされてきましたが、たぶん、そんなことはどうでもいい。とにかく「エゴイズム」をテーマとしたこの作品の怖さをあじわってください。
監督:アラン・J・パクラ
小説家志望の「僕」はニューヨークのアパートで、ユダヤ人女性ソフィーと出会う。次第に彼女に惹かれ始めた僕は、彼女が、誰にも言えない秘密を持っていることを知る。そして最後に、ソフィーが下した洗濯は・・・。
ウイリアム・スタイロン原作のシリアスドラマです。ソフィーがしたことを知った人は、誰も彼女を裁けないでしょう。映画史に残る名作です。たまには重厚な映画を見たいなと言う人にお薦めします。
監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック/ルーシー・ボーイントン
1970年代から1991年、フレディ・マーキュリーがエイズで死ぬまでロックシーンを席巻した英国のバンド”Queen”。自らの出自(ザンジバル出身)とバイセクシュアルであることに悩みながら、数々の傑作を作り出すフレディの栄光と苦悩をみごとに描き出した映画です。
映画のタイトルになっている「ボヘミアンラプソディ」は、私(カッシー)が中学生だった時の曲ですが、ロックなのに4楽章からなるその独創性には舌を巻きました。
(2021/4/21 更新)
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン/ロバート・レッドフォード/キャサリン・ロス
西部劇ですが、これは青春映画です。実在の二人の銀行強盗を主人公に、青春の輝きとその終焉を描いた、バディ・ムービーの傑作と言えるでしょう。
アメリカンニューシネマの代表作であり、ロバート・レッドフォードのデビュー作であり、と見どころが多いのですが、それ以上に、映画そのものの完成度が高く、特にラストのストップモーションの哀切さは絶品です。(2021・5・12更新)
18 『エイリアン』 1979 アメリカ
監督:リドリー・スコット
宇宙船の内部に入り込んだ地球外生命体(エイリアン)と、人間たちの闘い。
完全な密室空間での、知的で、しかも凶暴な敵と対峙する人間たちは、恐怖の底に突き落とされる。
エンターテインメント映画ですが、細部の作りまで上質で、見るものをとらえて離しません。
(2021・5・20 更新)
19 『ライムライト』 1952 アメリカ
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャップリン/クレア・ブルーム
チャップリン晩年の傑作。年老いて落ちぶれた芸人が、足を痛めて絶望のあまり自殺しようとしたバレリーナに出会う。彼は彼女に伝えようとする。「人間が生きるのに必要なのは、ほんの少しのお金と、勇気と、そして想像力だけなんだ」と。
不幸な少年時代を生き、大スターとなったチャップリンの人生哲学が堪能できる作品です。ちなみにこの映画には、当時チャップリンと人気を二分した喜劇俳優バスター・キートンが、やはり落ち目の芸人役で出ている。そんなところも見どころです。
(2021・6・22 更新)
20 『リービング・ラスベガス』 1995 アメリカ
監督:マイク・フィッギス
才能が枯渇してハリウッドを追われた脚本家の男。彼は妻子にも逃げられるほど酒にのめりこみ、一人で、酒を飲み続けて死ぬことを決意する。そしてラスベガスで出会った一人の娼婦。二つの孤独な魂はお互いを求めてさまよう。
なんだかスコット・フィッツジェラルドを思わせる主人公ですが、原作者ジョン・オブライエン(34歳でアル中の末拳銃自殺)の半自叙伝をもとに作られています。
大人の恋愛映画とでも言えばいいのでしょうか。スティングの音楽も素晴らしい。
(2021・7・5 更新)
監督:ペニー・マーシャル
1920年代のアメリカで、奇妙な病気が流行した。嗜眠性脳炎と言われるこの病気にかかった子供たちは、体のどこにも異常がないのに昏々と眠り続けた。
医師(R・ウイリアムズ)が投薬したところ、30年の時間を経て彼らは目覚めた。ところがやがて、薬の副作用が現れて・・・。医師と患者の葛藤と友情を描いた名作です。
2021・8・3 更新
22 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 1985 アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス
大人気タイムトラベルSFシリーズの第1作。スピルバーグ製作、ゼメキス監督という黄金コンビによるエンターテインメント大作。
とにかく楽しい。こまかいところまで見どころがあって、最後まで熱中して見られる。特に主人公のマーティがパーティー会場でチャック・ベリーを演奏するシーンは圧巻。
この作品がすごいなと思うのは、主役のマイケル・J・フォックスが難病であるパーキンソン病で俳優を引退して話題になったり、スポーツ用品メーカーのナイキが、映画に出てくる未来の商品に合わせて夢のシューズを開発したりと、映画の外の現実世界にまで影響を与え続けていることでしょう。
2021・8・11 更新